今回のテーマは変形性股関節症です。
変形性股関節症は、股関節を支えるクッションのような役割のある関節軟骨が
なにかしらの原因ですり減る事によって関節が炎症を起こしたり変形したりする
事で股関節痛や機能障害を引き起こす疾患です。
●股関節とは何か
股関節は大腿骨(太ももの骨)と、骨盤(腰を支える骨の集合)で構成されており、大腿骨の上にある骨頭という球状の骨が、骨盤側の寛骨臼というお椀状の凹みの部分にはまり込むような形になっています。
骨頭と寛骨臼は、柔らかく弾力のある関節軟骨という組織で覆われ、関節を保護したり、関節の滑らかな動きを助ける役割を果たしています。
●症状
- 股関節の痛み(立ち上がりや歩き始めの痛み)
- 股関節の可動域制限(股関節が曲がらなくなる)
- 足の爪切りが難しくなる
- 靴下やズボンが履きにくい
- 和式トイレが使いにくい、正座が出来ない
- 症状がひどいと寝ていても痛みが出たり、歩けない
●原因
- 一次性変形性股関節症
原因がはっきりせず、加齢や肥満などの要因が考えられている。
加齢に伴い軟骨が弱まり、体重などの負担が長年にわたって積み重なり、軟骨が変形することで擦り減る。
高齢化のため増加中 - 二次性変形性股関節症
臼蓋形成不全や発育性股関節形成不全などの子供の時の病気や発育障害が原因。全体の80%を占めている。
臼蓋とは大腿骨の骨頭を受け皿のように収めている部分で臼蓋形成不全とは、股関節の臼蓋の形が不完全な状態である。
発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)とは、乳幼児期に股関節を脱臼しておこる疾患。
他には大腿骨頭すべり症、ペルテス病、骨折、脱臼、痛風、可能性関節炎などがある。
●治療法
・早期の場合は保存療法が有効・・痛み止めを服用し、股関節の負担を減らすのが重要。水中でのウォーキングや筋力トレーニングや、肥満があるなら食事の改善による体重コントロールを行うことで、改善が見られることもある。杖や補助具を使うことで日常の動きが楽になりやすい。マッサージや鍼灸治療などで患部周囲の筋肉の緊張などを緩め負担を減らすのも有効。
・保存療法で改善がみられない場合・・年齢や日常生活などをふまえて手術が考えられる。関節がそれほど傷んでいない場合は、関節近くの骨を切り関節の向きを矯正し、残っている軟骨の位置を修正して体重がかかる位置をコントロールする手術がある。変形が進んでいる場合は、もともとの股関節を金属やセラミック、ポリエチレンなどの人工股関節に置き換える手術を行うことで痛みが改善され、左右の足の長さのずれも少なくなるため、歩きやすく快適な生活が送れやすくなる。
股関節はスポーツをしていたり、日常生活だけの方も痛みが出やすい場所です。放置していると
痛みが強くなり、歩いたり日常生活も困難になってきますので、痛みでお困りのかたは
いつでもご相談ください。